おいしいアピオスを作るためには4月から翌年2月まで作業が続きます。アピオスができるまでをご紹介します。

4月~5月 植え付け作業
春を迎えるウグイスの鳴き声とともに、畑の準備が始まります。
農薬を使わないので、雑草を抑えるためにマルチ(黒いビニール)を敷き、アピオスのつるが絡むように支柱とネットを用意します。10アールあたり300本以上の支柱を使いますので、その準備だけでかなりの重労働です。
6月 発芽と成長
6月に入ると、アピオスが続々と芽を出します。
中には、うまく芽が出ないものや、ネットにからまないで倒れてしまうものもありますので、うまく絡んで成長できるよう、誘引します。
芽が出た後は、雨と夏の日差しでぐんぐん成長します。でも、佐井村には梅雨はほとんどありませんので、十分な雨が降るかどうか、農業者はどきどきしながら天気予報とにらめっこしています。


7月 成長
アピオスは、春に準備した支柱とネットをつたってツルが伸びて、1.8mの高さのアーチは緑一色になります。(写真は空撮したもの)
アピオスと一緒に雑草も成長するので、無農薬栽培栽培では、草取りもがんばる必要があります。
8月 アピオスの花
7月下旬から紫色のアピオスの花が咲き始め、8月中旬には満開となって、咲き乱れます。
花を摘んで乾燥させ、お茶を作ります。短い開花期間の間の作業なので、摘んですぐに乾燥機に入れ、夜通しで乾燥させる24時間作業です。
花が散ると、アピオスは根に栄養を蓄える期間に入り、イモが大きくなり始めます。


11月 収穫
10月の終わりから11月初頭に枯れたアピオスを片付けて、イモほり作業です。冬が来るまでの時間との戦いで、一番の重労働です。
写真は、佐井小学校の5年生のイモ掘り体験。佐井村では、村の農業について学んでもらうため、毎年、植え付け、花摘み、収穫を体験してもらっています。
12月 寒ざらし
厳しい寒さの中、アピオスを屋外に置いておきます。
寒い中で生き残るために、アピオス自身が糖を作り出し、甘くなります。
収穫してすぐのアピオスは糖度18~21程度ですが、寒ざらしをすると、糖度が30前後と、1.5倍になります。
余談ですが、糖度は水分量と密接にかかわりますので、水分の少ないアピオスは糖度が高く出ます。水分の多いメロンなどとの比較には意味がありません。


1月~2月 選別・洗浄・加工
甘くなったアピオスを、傷物や腐敗したものを取り除き、選別します。
選別後にきれいに洗います。
暖かいとアピオスに良くないので、氷点下の環境で、つながっているアピオスを1つ1つ切り離していきます。
暖かくなると、アピオスは春の発芽に向けて、自分で糖分を消費します。そのため、甘くなくなります。寒い間に加工することが重要です。